ベンロマック
Benromach Distilleryベンロマック蒸留所は、1993年にインディペンデント・ボトラーとして130年以上の歴史を持つゴードン&マクファイル社に買収されました。その後、5年の歳月をかけて丁寧に再建され、1998年に操業を再開しました。 かすかにスモーキーな、失われたスペイサイドの伝統を復活させ、たった数人のディスティラーが専門知識と五感に頼って手作りしています。 伝統・技術・情熱・歴史・人々の想い・・・これらすべてを継承し受け継ぐ場所、それがベンロマック蒸留所です。
ベンロマック 10年
Benromach 10YOファーストフィルのシェリー樽とバーボン樽を主体に熟成。赤リンゴや熟したバナナ、ほのかなチョコレートのニュアンスに、ベンロマックらしいやわらかなピートスモークが調和します。クラシックなスペイサイドモルトの原点を体現する一本です。
ベンロマック 15年
Benromach 15YOより長い熟成により、リッチなシェリーの風味と奥深い熟成感が際立ちます。ダークチョコレートやオレンジピール、スパイスの複雑な味わいに、心地よいスモークが長く続きます。エレガントで飲みごたえのあるベンロマックの真骨頂。
ベンロマック 21年
Benromach 21YO厳選された樽で長期熟成された、ベンロマックのフラッグシップ。熟したベリーやドライフルーツ、スパイス、そして上品なスモークが幾重にも重なり合う、荘厳で贅沢な味わい。長い余韻が特別な時間を彩ります。
DISCOVER THE LOST SMOKE OF SPEYSIDE ~スペイサイドの失われたスモーク、いま、グラスの中で目を覚ます~
著名な評論家ニール・リドリー氏がベンロマックを語る
今日のスペイサイドウイスキーは、常にこのスタイルだったわけではない。 現代のスペイサイド・シングルモルト・スコッチ・ウイスキーは、軽やかでフローラル、ほとんどピート香のないものとして知られている。しかし、もし時間を遡れば、スペイサイドの最も軽いウイスキーでさえ、ほのかなスモーキーさが特徴だった。これは伝統的な製法の特徴であり、今ではすべて忘れ去られている。 かつては、ほとんどの蒸留所で麦芽を火の上で穏やかに乾燥させていた。燃料の主たる源であったピートが、ウイスキーに紛れもないスモーキーな影響を残したのだ。 時が経つにつれ、伝統的な技法がより近代的な方法に取って代わられる中、スペイサイド・シングルモルトはこの古典的な特徴から離れ、より軽やかでピート香のないプロファイルへと移行していった。 しかしベンロマックは違う。この地で彼らはスペイサイドのルーツに忠実であり続け、時と共に失われかけたウイスキーのスタイルに新たな命を吹き込んでいる。 この家族経営の蒸留所では、かつてスペイサイドを定義づけた特徴を見事に復活させた。豊かなシングルモルトウイスキーに、繊細なスモーキーなニュアンスが漂う。 伝統的な技法で丹念に造られるこの受賞歴豊富なスピリッツは、本物の個性を追求して手作業で仕上げられる。 だからこそベンロマックをグラスに注ぐとき、あなたは失われかけたスペイサイドの燻香を体感するのだ。永遠に失われるかと思われた味わいが、今ここに蘇る。決して忘れられない一杯となるだろう。
MADE BY HAND FOR GENUINE CHARACTER ~全ては職人の手から~
私たちベンロマックは、ウイスキー本来の個性を最も大事に想う、ウイスキー好きな一族が所有する、スペイサイドの昔からある蒸留所です。ここでは物事は、とてもシンプル。ウイスキーを作るディスティラーは片手で数えられる人数しかいませんが、その高い専門性と感覚で、良質なウイスキーを手作りしています。かすかなスモークをまとった手作りのスペイサイドウイスキーは、すべて信頼に足るファーストフィルの樽に入れられます。そう、必要なのは、大麦、水、イースト、そして職人の手なのです。
すべての樽詰めは手作業で行われ、一つ一つ計測し詳細を書き込まれ、伝統的なダンネージスタイルの倉庫で眠りにつきます。なぜか?それはベンロマックにおいては、手作業でウイスキーを作ることこそ、真実の味わいを引き出せると信じているからです。
蒸留所の背後、数キロ離れたところにあるロマック丘から流れ出る、チャペルトンの泉。蒸留所では、この天然水を仕込み水にしています。
古のスペイサイドにおいて、石炭の供給が足りなくなった時代にピートを代用して燃料にした習慣に倣い、ベンロマックでは地元で生育した大麦にかすかにスモークを焚き込み、モルトにしています。その後120年前に作られたモルトミル「ボビーミル」の4つのローラーで、グリストにしていくのです。最終的にミディアムピートのモルトになるよう慎重に管理し、この唯一無二の個性的なスペイサイドウイスキーを作っています。
マッシュを作るときには、グリストと水を混ぜますが、この水は120年前から蒸留所で使っているものと同じものです。蒸留所のすぐ裏手にある、ロマック丘のチャペルトンという泉から湧き出る天然水です。段階的に温度を上げて3回に分けて注水することで、麦芽の味わいや良質な成分が引き出され、穀物のでんぷんが糖分に変わっていきます。マッシュタンの中の大きな撹拌機が二度ほど混ぜると、複雑でモルティな個性のあるもろみができあがります。
発酵は、カラマツ製のウォッシュバックで長めの3~5日間続きます。通常ブリュワーズイーストとディスティラーズイーストの二種類を使い、より完全な発酵を促し、より複雑な味わいにしあがるようにしていきます。
特注の蒸留器二基によって蒸留されたスピリッツはミディアムボディで、いかなる熟成期間にも適しています。ウォッシュは専門性と経験に富んだスタッフが手作業でスチルに移し、水質の確かな水と共に初留を始めます。ヘッドとテイルを見極めるディスティラーたちの眼は、そのスピリッツを最も品質の高いものにするために、カットするその瞬間に最も厳しくなります。そして一番の中心部分が、新樽に入れられ何年もの熟成に備えるのです。
良い樽は、良いウイスキーを作るための絶対条件です。そのウイスキーの味わいを大きく決めるのは、バーボンにしろシェリーにしろ、一度それらを熟成した後に初めて使われる樽です。ベンロマック蒸留所では、このようなファーストフィルの樽だけを使用し、柔らかくて甘い味わいに仕上げています。熟成中も気を抜くことなく、その味わいが正しく変化しているか、厳しく管理しています。
生まれたてのベンロマックを手作業で樽に詰めたあとは、ダンネージ式の熟成庫まで転がしていきます。ダンネージ式の倉庫は、室温を一定に保ってくれ、モルトウイスキーの熟成に理想的な環境を整えてくれます。