ランゴ・マルタン

Lingot Martin
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生産者・歴史

1958年に原産地呼称(AOC)を取得したサヴォワのビュジェ(Bugey)。その中心にあるAOCセルドン(Cerdon)は10の村にまたがる200ヘクタールの面積を持ち、石灰質粘土の土壌で栽培されたガメイやプールサールの品種から「メトード・アンセストラル」という特徴的な醸造方法によって、柔らかい泡立ちが特徴でほのかに甘口のロゼ・スパークリングワインを生み出しています。
このAOCビュジェの中のポンサン村に拠点を構えるランゴ・マルタンは、何世代にもわたり同地でワイン造りをしてきたランゴ家、マルタン家、ボリエ家の3家族によって1970年に設立されました。2006年にギヨン兄弟、2014年にアレクサンドル・ヴァレ氏がここに加わり、現在ではセルドンのブドウ畑の中央に40ヘクタールの畑を所有しています。
ランゴ・マルタンの理念は「大切なお客様の元へ最高のワインをお届けするために、情熱を持ちながら品質向上を目指し日々努力していくワイン造り」であり、ブドウの栽培からボトル詰めに至るまで、すべての作業に細心の注意が払われています。

畑・栽培

日当たりの良い石灰質粘土の土壌の険しい斜面に40ヘクタールの畑を所有し、ブドウ樹は1ヘクタールあたり7200株と比較的密に植えられています。
また生態系を尊重し農薬の使用を最小限にするなどサステナブルな方法で栽培を行っており、HVE(High Environmental Value=環境価値重視)という認証を取得しています。
他にもブドウ樹の樹勢をコントロールしながら成長の邪魔になる葉や枝を除去、収量を低めに抑えるなどして、品質が良く理想的に熟したブドウを作る努力をしています。

メトード・アンセストラル方式の起源と醸造方法

メトード・アンセストラル方式を一言で説明すると、「タンクで途中まで発酵したワインをボトル詰めし、発酵を再開させることによって低めのアルコールと柔らかい泡を持つスパークリングワインを生み出す醸造方法」と言えます。
ローマ時代から中世までの間に現在の醸造方法の元になるような製造法が生まれたとも言われており、文献には1544年にラングドック地方のリムーでメトード・アンセストラル方式による発泡性ワインが生産されたと書かれているのが最初の記載になります。

ランゴ・マルタンではブドウは手摘みで収穫された後圧搾され、ソフトプレスで抽出された果汁はタンクに入れられます。これを低温でアルコール発酵させることで低いアルコール度数のベースワインができます。この段階で温度をさらに下げて発酵をストップさせるとワインには糖分と酵母が残っている状態になります。このベースワインはボトル詰めされた後カーヴに置かれますが、温度が上がると自然に発酵が再開され、柔らかい泡が生まれます。最後に、上質なアロマを保ちつつ望ましくない要素が出てくるのを避けるためにワインを一度ボトルから他の容器に移して酵母を取り除き、再びワインをボトルに戻した後に打栓します。

  • カテゴリーワイン
  • 国名フランス
  • 地域サヴォワ

セルドン・メトード・アンセストラル・ロゼ

Cerdon Méthode Ancestrale Rosé
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  • 国名フランス
  • 地域サヴォワ
  • 容量750 ml
  • 度数8.5度
  • ビンテージNV
  • 色:ロゼ
  • 参考小売価格(税抜)オープン

ガメイ種100%から生まれる美しく淡いピンクの色合いと、クリーミーな泡立ちを誇るロゼ・スパークリングワイン「セルドン・メトード・アンセストラル・ロゼ」。
収穫されたガメイはプレスの前に数時間、果皮と共にマセレーションが施されます。これにより、ほどよい色素と香り成分が抽出されます。
デブルバージュによって不純物が取り除かれた後、タンクでのアルコール発酵が始まります。アルコール度数6%程度まで発酵したワインはボトル詰めされ、10度程度の温度に保たれたカーヴで発酵が再開します。5~6ヵ月後に自然に発酵が止まるとアルコール度数は約8~8.5%に達します。このゆっくりとした低温での発酵が瓶内で継続されることより柔らかい泡が生まれ、セルドンの特徴的なラズベリーなどの赤い果実の香りが発達し、ブドウそのものの色を維持することが可能になります。その後滓抜きのために中のスパークリングワインをフィルターにかけた後に再びボトルに戻しますが、自然のガスは守られシルクのように上品な泡を生み出します。
この柔らかい泡と少し甘口のロゼ・スパークリングワインは、8~10度に冷やしてアペリティフとして、またデザートと一緒にお楽しみいただけます。

ペット・ナット・ロゼ・キュヴェ・スザンヌ

Pet-Nat Rosé Cuvée Suzanne
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  • 国名フランス
  • 地域サヴォワ
  • 容量750ml
  • 度数10.5度
  • ビンテージNV
  • 色:ロゼ
  • 参考小売価格(税抜)オープン

ペット・ナット(Pet-Nat)とはPétillant Naturel(ペティアン・ナチュレル)の略称で、メトード・アンセストラル方式による柔らかい泡を持つスパークリングワインのことを意味し、直訳すると「自然な発泡によるスパークリングワイン」という意味になります。コルクではなく王冠によって栓がされるのが特徴です。
メトード・アンセストラル方式は、17世紀にシャンパーニュ地方で瓶内二次発酵による発泡性ワインの醸造方法が生み出されて以来その知名度に押され、一部の地域だけで用いられるに留まっていました。20世紀に入ってAOC法ができるとこれらの主な地域はこの方式によるスパークリングワインの生産地域として原産地呼称が与えられ、現在まで生産が続いていました。しかし近年自然派ワインの人気が高まったことで、より自然な製造方法であるメトード・アンセストラル方式が再び注目を集めるようになりました。そしてこの方式で生産されたペット・ナットがフランスのバーやワインショップで人気となったことが引き金となり、さまざまな国・地域で多様な品種を用いてペット・ナットが生産されるようになりました。

ランゴ・マルタンはもともとメトード・アンセストラル方式を用いたAOCセルドンを生産してきた生産者でしたが、このノウハウを生かし新たにペット・ナットを生み出しました。

ランゴ・マルタン創設者の家族であり、現在の生産者の母にあたるスザンヌは、発酵直後のかすかに発砲しているガメイのジュースが大のお気に入りでした。その逸話にヒントを得て、このロゼのペット・ナットが生み出されました。スザンヌが好きだった赤い果実とフレッシュなブドウの香りという特徴が生き生きと表れたスパークリングロゼワインです。

AOCセルドンでは1リットルあたり25グラムの糖を残すことが規定されていますが、AOCワインではないペット・ナットの場合、残糖は1リットルあたり17グラムとより控えめな甘さになっています。 またセルドンの醸造で行われている果皮とのマセレーションはペット・ナットには施されないので、色合いはより淡いピンク色になっており、香りはフルーティーで特に赤い果実の香りが特徴的です。繊細な泡が立ち上り、余韻にもラズベリーなどの赤い果実のニュアンスが感じられます。

ペット・ナット・ブラン・キュヴェ・マルセル・ブリュット・ゼロ

Pet-Nat Blanc Cuvée Marcel Brut Zéro
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  • 国名フランス
  • 地域サヴォワ
  • 容量750 ml
  • 度数11.5度
  • ビンテージNV
  • 色:白
  • 参考小売価格(税抜)オープン

品種 : シャルドネ
ランゴ・マルタンの創設者で現在の生産者の祖父にあたるマルセルはブルゴーニュ北部の畑の中心にある村で生まれましたが、第二次世界大戦で故郷を追われ、現在のサヴォワ地方のオー・ビュジェイ(Haut Bugey)の地に移ってきました。マルセルは故郷にあったシャルドネ種に深い思い入れを持っており、新しい土地にもこの品種を植えることを決意しました。
そのシャルドネ種を使って作られているのが、このペット・ナット・ブランです。

AOCワインであるセルドンのような最低糖分量の規定がないため、残糖はゼロで、すっきりとした辛口に作られています。柔らかい泡と果実や花のような香りが特徴的で、とても軽やかで飲みやすいワインです。アペリティフとして、またはデザートと一緒に楽しむのに最適です。