生産者とJISの取り組み


弊社では世界中から様々なお酒を探し出して、皆様にお届けしています。個性が際立つものや、希少性の高いもの、そして厳選された上質な原料を用いて、昔ながらの製法で丁寧に作られているもの。こういった弊社の商品選定に対する姿勢は、これまでに多くのお取引先様や一般の愛好家の皆様に支えられ、変わらぬご支持を頂戴して参りました。

しかし輸入洋酒を取り巻く環境は、ここ数年で劇的に変化しています。

新興地域における急激な需要増、現地生産者が保有する古酒在庫の激減、原材料費の上昇など様々な要因が重なり合い、価格の高騰はもちろん、「良いお酒を確保する」ということ自体が難しくなってきています。

そして消費者サイドにも大きな変化が訪れています。ウイスキーやワインに関する情報は、今やインターネットによって世界中から容易に入手出来ます。希少な商品であっても個人輸入やインターネットオークション等で入手することが可能となり、商品選択の幅は、以前では考えられないほどに広がっています。

言い換えれば、インポーターとしてこれまでのように「上質なお酒を探し出してお届けする」、ただそれだけでお客様に満足して頂ける時代というものは、もはや過ぎ去ってしまったのではないでしょうか。

弊社では以前より「Deep Sessions」という、生産者とお客様が直に接するセミナーを開催し、商品のみならずその背景や作り手の気持ちを感じ取って頂けるような活動を行っています。そこからもう一歩踏み込み、日本のお客様に、本当に満足して頂くにはどうしたら良いのか?その答えの一つが、下記でご紹介するシングルモルトの「生産者との取り組み」です。

嗜好品であるお酒の楽しみを、もっと多くのお客様と共有したい。
株式会社ジャパンインポートシステムはこれからも、様々な取り組みを行って参ります。

ゴードン&マクファイル

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皆様ご存知の通り、英国の老舗ボトラーであるゴードン&マクファイル社がリリースするシングルモルトは全てに渡って素晴らしく、その品質と安定感には絶大な信頼が寄せられています。しかし英ポンド高や世界的な需要増が重なりシングルモルトの価格が急騰していた数年前、弊社では「本当に品質の良い商品を選び、自信を持って皆様へお届けする」という原点に戻り、2007年になって間もなく同社へカスクサンプル(樽から出されたそのままの原酒)の手配を依頼致しました。需要が高まる年末へ向けて本当に「旨い」モルトウイスキーを何樽か瓶詰め出来ないかと考えたのです。

それから数ヵ月後、依頼したサンプルが到着したのは4月上旬のことでした。そのサンプルを確認したところ、1960年代に蒸留されたグレンリベットやマッカラン、ストラスアイラ等の人気蒸留所、また同社と関係が深い蒸留所であるリンクウッドやモートラック、ロングモーン、更には1952年や1958年に蒸留された非常に古いグレングラントなど、思いも寄らないほど貴重なサンプルばかりでした。その数は全部で60種類以上にも及び、私たちはすぐにその全てのサンプルの試飲を行ったのです。さすがに60種類以上のサンプルを全て試すのには、休憩を入れながら数時間かかりましたが、その中から瓶詰めする候補を選ぶのだという本来の主旨を忘れ、ただただその品質の高さに圧倒されたことを思い出します。

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そして私たちは考えました。この貴重なサンプルを私たちだけで試すのではなく、もっと多くの方に試してもらい、その意見を頂戴して商品化に関してのお力添えを頂こうと思ったのです。

約一ヵ月半後の5月下旬、弊社の取引先である専門酒販店の担当者の方やシングルモルトに詳しいバーテンダーの方を対象に、今回のサンプルのスペシャル・テイスティングを開催致しました。私たちと同様に、皆様のシングルモルトに傾ける情熱は凄まじく、実施前に参加者を募る段階で定員の三倍を超える多くの応募を頂戴しました。サンプル数の問題上、お一人様に試飲して頂く数を減らし、さらに会場を広い場所へ変更して、最終的にはご応募頂いた全員の方にお越し頂く事が出来ました。 中には大阪や岡山などの遠方からお越し頂いた方もいらっしゃった程です。皆様に熱心にテイスティングを行って頂き、有意義なご意見をたくさん頂戴致しました。

そのテイスティングが終わって間もなく、ご参加頂いた方から提出頂いたアンケートを元に、各アイテムの人気を集計し、更には弊社スタッフで最終テイスティングを再度行い、アイテムを絞った上でゴードン&マクファイル社との交渉を行い、6月下旬には最終的なボトリングの依頼が完了しました。

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テイスティング時のアンケートにおいて、やはり加水せずにカスクストレングスでのボトリングを希望する声が多く挙がりました。同社の商品のほとんどが、コニサーズチョイスなど40度から43度で商品化されているという事実をご存知のお客様が多かったからかもしれません。しかし今回のサンプルのほとんどが40年前後の長期熟成の人気蒸留所なので、カスクストレングスでボトリングをすると、非常に高価な商品となってしまいます。せっかくの旨いウイスキーでも、皆様に楽しんで頂く機会が少なくては意味がありません。しかしシングルモルトを普段から飲みなれている方にとって、アルコール度数40度というのは少し物足りなく感じてしまうのも事実です。

その結果、今回のボトリングに関しては一部を除きアルコール度数46度での瓶詰めとなりました。もちろん加水はされておりますが、今回は長期熟成でアルコール度数が自然に下がっているものがほとんどだったため、若干の加水に留まっています。結果、本来の味わいが大きく崩れてしまうということはありません。そしてついに7月上旬、ゴードン&マクファイル社にてボトリング作業が始まりました。

9月中旬頃に商品が日本へ到着し、10月に商品のご案内を開始致しました。案内した商品は「ロングモーン1964」、「グレンリベット1966」、「マッカラン1971」、「ストラスアイラ1960」、モートラック1969」の5アイテム。ほとんどが年内に完売し、一部のアイテムは案内後の数日でなくなってしまうほどの人気商品となりました。まさに日本のお客様が選んだ、日本のお客様のためのシングルモルトなのです。

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その後2008年、2009年と変わらずゴードン&マクファイル社との取り組みを続けています。

2008年には、前年に東京のみで実施したスペシャル・テイスティングを、大阪や福岡、仙台でも実施し、より多くの皆様の意見を頂戴して商品の選定を行いました。入荷前から皆様の期待が非常に高く、こちらも即完売する商品が相次ぎました。

また2009年に届いたサンプルは特に品質の高い樽が多く、高いレベルでの樽の選定に非常に悩まされました。その結果、特に上質な商品に貼られる「ケルティック・ラベル」でのリリースが実現し、ほとんどのアイテムが即日完売というご支持を頂戴致しました。ゴードン&マクファイル社と日本のお客様の関係がこの数年で特に強固なものになった結果、これだけ質の高いサンプルが日本に到着し、商品化が実現したのだと考えております。

今後も更に上質なシングルモルトを皆様へお届け致しますので、是非ご期待下さい!

ダグラスレイン

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現在のシングルモルトに関する全ての情報は、生産国である英国スコットランドを発信源に、主にヨーロッパ諸国で先行しております。また船便で輸入する際には、リリースに数ヶ月の遅れが生じるため、どうしても日本とスコットランドの距離が縮まらない、と感じる方も多かったのではないでしょうか。

しかし2007年春、弊社はこの件に関してダグラスレイン社と話し合った結果、日本のお客様を同社でも初めての「スペシャル海外クライアント」として定め、メイン商品であるオールド・モルト・カスク(OMC)シリーズや、最高峰のオールド&レア・シリーズの最新商品を、他国に先駆けて案内するという特別な取り計らいをしてもらえることとなりました。

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同時に、ボトリングする前のカスクサンプル(樽から出されたそのままの原酒)を日本へのみ提供してもらい、実際に味わいを確かめることが出来るということになりました。特にOMCシリーズはアルコール度数50%でボトリングされるため、樽出し度数でテイスティングをする機会は滅多にありません。まさに世界に先駆けて日本から情報発信をするという、前代未聞のテイスティング会を、2007年から定期的に行っています。

ただし提供してもらえるサンプルは700mlのフルボトルで1~2本ですので、都内近郊及び関西圏の、シングルモルトに精通しているお取引先様を数十名お招きして実施する、という形式を取っています。その際には各アイテムに関しての印象やテイスティング・ノートなどのアンケートにご協力頂く事で、ただ飲んで頂くだけではなく、どのような味わいが好まれるのか等を知ることができ、弊社にとっても非常に有意義なテイスティング会となっております。

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その後、ダグラスレイン社からのニューリリース商品として、弊社のお取引先様へFAXやE-MAILでご案内をしております。世界に先駆けた最新商品ですので、いち早く皆様へ商品をお届けできる様、商品は全て空輸便です。海外からの形式的なテイスティング・ノートではなく、シングルモルトを専門的に取り扱うお取引先様が実際に試されて感じて頂いたコメントや人気ランキングを載せておりますので、商品をご検討頂く際の指針となるのではないかと思っております。

この取り組みは2010年現在も継続的に行っておりますが、お取引先様の一部ご意見により現在は樽出しのサンプルではありません。最終的に商品化される際のアルコール度数に調整されたサンプルをテイスティングして頂いております。これは樽出し度数のサンプルを加水調整して商品化した際に、味わいが全く異なってしまったという状況が時折見られたからです。たとえわずかな加水であっても、シングルモルトはその性格を180度変えてしまうことがあります。皆様に生の情報をお届けするため、現在はアルコール度数を変更しております。

日本で流通しているダグラスレイン社のシングルモルトのほとんどは、世界に先駆けて日本のお客様が選んだといっても過言ではありません。今後の取り組みにも是非ご期待下さい。